和製MBAと呼ばれている中小企業診断士。
学習内容が近いことは知られていますが、これから目指す人は「自分はどっちを狙ったほうが良いの?」と判断しにくいと思います。
本記事ではMBAと中小企業診断士のどちらを勉強すれば良いか迷っている人のために違いをまとめました。
この記事の目次
中小企業診断士とMBAの基本的な違いは「国家資格」と「学位」
中小企業診断士は中小企業支援法に基づく国家資格です。
中小企業診断士試験に合格し実務補修を受けることで登録できます。
それに対して、MBA(Master of Business Administration)は経営学修士つまり学位です。
中小企業診断士試験のように1つの試験があるわけでなく、ビジネススクールで1年~2年間学ぶことで取得することができます。
※欧州は1~1.5年間が主流です
勉強方法に大きな違いがある中小企業診断士とMBA
中小企業診断士を目指す人は大半が会社員で仕事の傍らに自宅や予備校で勉強しています。
予備校は約30万円と費用も高めなので通信講座を使って勉強する人が多いのも特徴の1つです。
MBAはほぼすべて通学形式です。
過去の企業の実例などを実例として、ディスカッションで自分の意見を発信しながら知識を深めていくケースステディがほとんです。
一方的に講義を受けるといったような受け身の形式はほぼありません。
また、MBAの費用は国立大学で約100万円、私立で約3,400万円、海外になると数千万円もの費用がかかります。
海外でMBAを取得する場合は、金額が非常に高額なので会社の費用で参加する人がほとんどになります。
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中小企業診断士・MBAを目指す人の少し異なる特徴
中小企業診断士は中小企業を経営する社長や地方銀行・信用金庫・保証協会といった中小企業を相手にする金融機関で働く人間が目指していることが多いです。
一方、MBAは商社やメガバンク・外資系金融、大手メーカーの社員が社費を使って取得するケースが多いです。
勉強内容はMBAが大企業の経営全般について学ぶ内容が多いのに対し、中小企業診断士は中小企業向け科目(中小企業経営・政策)もあるように中小企業向けの内容が多いです。
ただ、経営の根幹は大企業でも中小企業でも大きく変わるものではないので、人事管理・マーケティング・財務会計など範囲が被っているものが大半です。
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あなたは中小企業診断士とMBAはどちらがあっている?それぞれに合う特徴
中小企業診断士とMBAのどちらが良いか?と調べる人もいるようですが、単純に比較することはできません。
取得までのフローが大きく異なるので、あなたの現在の状況と将来のなりたい姿によって合っている方を選ぶべきです。
MBAは選抜試験を通過したとしても卒業要件という壁があり、単位取得ができずに挫折してしまう人もいます。
仕事との両立が難しくて中退してしまう人も一定数いるほどです。
また、MBAと言ってもコースによって難易度が全く異なります。
国内の比較的優しい大学院から、すべて英語で学ぶ必要がある海外のハイレベルなものでも同じMBAです。
中小企業診断士は選抜試験や単位といった概念はなく「試験で合格する」これだけ満たせばOKです。
試験が年に1度しかないのがネックですが自分にあったペースで勉強できるというのは大きなメリットですね。
ただ、日本で唯一の経営コンサルタント資格というだけあり合格率は約4%と非常に難関です。
中小企業診断士とMBAの両方を同時に取得できるコースもある
実は中小企業診断士とMBAの両方を同時に取得できるコースがあります。
それが、大学院で実施されている中小企業診断士養成課程と呼ばれるコースです。
大学院で実施されている中小企業診断士養成課程を修了することによって、中小企業診断士とMBAを同時に取得できます。
応募要件に「中小企業診断士一次試験に合格」があるので、何の準備もなく参加できるものではありませんが、これを使えば中小企業診断士を難関資格たらしめている二次試験を受けなくて済みます。
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